全国宅地建物取引ツイッタラー協会(通称:全宅ツイ)が毎年12月に開催する、不動産業界で最もイカれた物件・事件を表彰する奇祭。2014年に「次世代に語り継ぎたいプロジェクト100選」として産声を上げてから12年、地面師・サブリース破綻・地上げ・擁壁爆発と、欲と業の見本市として日本の不動産史に刻まれてきた全受賞作を、独断と偏見でダイジェストでお届けします。
まだ「クソ物件」という名称ではなく「不動産屋さんが選ぶ次世代に語り継ぎたいプロジェクト100選」として、内輪ネタとしてひっそり産声を上げた記念すべき初年度。記念すべき初代王者は、予想の斜め上から全てをかっさらっていきました。
「次世代に語り継ぎたい」と言われて、男性諸氏が真っ先に思い浮かべる"あの"プール。アダルトビデオの聖地として数百本の作品に登場する千葉県の撮影スタジオを、真顔で不動産案件としてエントリーしてしまったkamome81氏。かもめ君はあとで職員室に来るように。
指定暴力団・東声会の会長ファンソこと町井久之が築いた要塞。複雑すぎる権利関係に数々の強者が挑戦し、ついに双海通商が取りまとめに成功。なお同社代表の実兄は世界最大の空手団体のチャンピオン。反社×空手×都心一等地の三題噺、力技で収斂。
競売のたびに意味不明なファンドや宗教法人が落札を試みては消えていく、現代史の縮図みたいな一等地。「本当にS友のマンションは建つのか?」という宿題を残して本賞をあとにしました。
「Googleが参入したら街の不動産屋さんは絶滅」と震え上がった業界。蓋を開けたら全くそんなことはなく、梯子を外されたジアースの断末魔だけが響きました。テック企業、不動産には勝てず。
迷走に迷走を重ねた大規模物件。この一本目の投稿がなければ今日のKBOYは無かった、記念すべき"はじめの一歩"。不動産屋なのにメルマガ登録までしてウォッチする徹底ぶりが業界人を引きつけました。
ここから名前が「クソ物件オブザイヤー」となり、翌年以降の爆発的認知度を決定づけた歴史的な一年。大賞の「自然薯ハウス」があまりに衝撃的すぎて、業界を超えてバズりました。
旗竿地の「竿」の部分に、細長〜い家を建てて分譲。自然薯か細巻きかというプロポーションで、成城アドレスだけを欲しがる客を釣る荒業。狭小邸宅ブームの布石にして、その後数年にわたりクソ物件史に繰り返し登場する"聖地"になりました。「憧憬の地の、廊下に住まう。」
全戸完売・竣工間際のタイミングで、ご近所住民による建築確認取消のあんこくめん。「2層ほど減築してください」と裁判所に言われ、建設途中のマンションが塩漬けに。業界には古くから「文京区に手を出してはならぬ」という言い伝えがあるのです。
前橋市の畑から不動産会社社長の遺体が発見。舞台が北関東、手口が北関東、オチも北関東という完全な様式美で、TLにしばらく現れない不動産屋に「あいつ、北関東されたんじゃ…?」と疑惑が浮上。"北関東する"が業界の動詞として定着しました。
民泊という名の黒船。7万円で借りた賃貸に中国人観光客をバスで運び込み、3ヶ月で1700万売り上げた強者も登場。住民クレーム無視、みかじめ料徴収で書類送検された管理会社の一人勝ち。法律より早く動いた者が勝つ、いつもの不動産ショー。
池袋の不動産会社で、酒を飲んで1時間半遅刻してきた部下を社長がスタンガンで撃退し逮捕。「この業界らしいほっこりニュース」として迎え入れられ、部下がいる不動産屋たちはこぞってAmazonでスタンガンを検索しました。
メルカリが不動産C2Cという禁断の扉を開けた年。おしゃれと貧困、地上げと死、極端が両極から噴き出し、業界の二極化がくっきり可視化されました。
天下のフリマアプリが不動産C2Cに参入。可愛いUIと情弱集客力で、残置物の横領・無断転貸・民泊お断り物件への闇民泊が乱舞する"ナイトサファリ"に。違法大家を垢BANしまくって浄化したが、不動産テック黒船がもたらした混沌は語り継がれる伝説となりました。
便座の真上にエアコン、というトイレの神様も怒り出すレイアウトの"おしゃれ独房"。東洋経済が「新しい四畳半!」と持ち上げるも、実態は利回り稼ぎの間口最小戸数詰め込み物件。建築士を小一時間問い詰めたくなる傑作。
マッカーサー道路再開発の地上げホットポイントで、行方不明の間に6社が次々と登記を挟み、最後はNTT都市開発へ。出口が決まった瞬間、地主の老女は建物の間で白骨化しているのが見つかりました。地面師の活躍期の幕開け。
築50年弱、エレベーターすらないバス便郊外団地を一括仕入れ、改装もせず区分で貧困層に35年ローン月4千円で分譲。「世代を超えて住み続けたい街」改め「世代を超えて幽閉される街」。やってることはボルテックスと同じ、でも客層が違いすぎる。
新宿南口の149坪、逮捕者と死者が数えきれないほど出ている因縁の土地。税金滞納からの公売で身ぎれいにして、さあついに…と思ったらパン屋さんがすごい値段で落札。新卒いじめに謄本を渡して飛び込み営業させる絶好のネタ物件。
応募数372作品。後にNetflixで世界中を震わせる「地面師たち」の元ネタ、海喜館事件が2位にランクイン。しかしそれを抑えて優勝したのは、もっとシンプルでもっと頭のおかしい物件でした。
マンション敷地の一部(駐車場)だけを買った不動産会社が、そこに戸建6棟を建てて分譲。…え?建てていいわけないだろwww 結果、敷地を失った元のマンションが違法建築扱いとなり、資産価値が大崩壊。地裁では業者に軍配があがったが、そんな経緯を知って買う人間はいるのか?いるかもと思って建てちゃうのが不動産屋なんですね。
積水ハウスが55億円を騙し取られた伝説の地面師事件。他人の土地を、他人になりすまして売りつける。63億円も払うのに見抜けないなんて、と思うかもしれませんが、目の前の人が本当に土地所有者かを確認するのは想像以上に難しい。全国民のおでこにICチップを埋め込むしかない。
不動産営業マンのゴリゴリ動画がネットでバズり大人気に。ただしワンルームマンションを強引に売り込む彼らのようなゴリラが東京の地価を支えているという不都合な真実も。どんなに澄ました不動産屋でも、ゴリラの恩恵を受けている。
大手賃貸仲介ハウスドゥが、今年だけで2回も逮捕のプレスリリースを発表。「家を売るか、合鍵を持った不動産屋に耐えるか」の二択を迫られる資本主義の極北。業界流行語にもなりました。ドゥ?感じるやろう?
地主の心が折れるまで訪問して、粗利マシマシのアパートを建てさせるビジネスモデルで急成長中。そんな同社の「手書き営業レター」が拡散し話題に。ケビン氏は投稿と同時に大東建託を3000万円空売りしましたが、株価は逆に最高値を更新し続けました(合掌)。
かぼちゃの馬車破綻 → スルガショック → TATERU巻き込まれ事故の地獄コンボ。不動産融資が一気に冬を迎えた、日本のサラリーマン大家の墓標が大量に建った年。
通帳も偽造、年収も偽造、入居者も偽造、売主も偽造、収支シミュレーションも偽造。ぜんぶ偽造でも、融資担当者が「エビどう?」とささやけば3億の融資がポンと出る。偽造は一人ではできない、売りたい人も買いたい人もみんなで「エビどう?」の輪唱ができる。これはみんなで獲った優勝賞です。
宗教法人を隠れ蓑にラブホを経営し脱税、結局倒産。この句、口に出して読んでみてください。宗・教・ラ・ブ・ホ・が・ピス・トン・脱・税。140字の中で完璧な韻を踏む名作で、わずか1票差の惜敗。
登記上わずか12.33㎡、高円寺駅前の超・超・薄い立ち食いうどん屋が台風で倒壊。「ドリフかよ」のインパクトで大バズり。後にクラウドファンディングで跡地が再建され、全宅ツイ運営の居酒屋「酒チャンス」に生まれ変わりました。
「サブリースで30年家賃保証」を謳い文句に、スルガ銀行とタッグを組んでサラリーマン大家を量産→破綻。ここから覚えておくべき鉄則が一つ。「向こうから来る物件はぜんぶクソ物件」。
去年2位だった積水ハウス55億地面師事件が、時効を待つかのように今年も再ランクイン。こんな怪しいBBAから買うなよと思うかもしれないが、大きな不動産の個人所有者はだいたい怪しいので、実際見分けはつきません。
応募数777件、歴代最高更新。ただし今年は接戦というより財閥系の圧巻のウルテクにみんなが脱帽した年。
三井が日本橋再開発にあたり、細長い敷地を隙間なくバーコードのようにビル群で埋め尽くす都市計画を発表。あまりに財閥すぎる不動産大技林に、2位を70票近く突き放す空前の圧勝。刻まれたツームストーンの言葉は「向こうから来る物件は全部クソ」。
賃貸の除菌消臭スプレー(施工料2万円)を店内で大量に撒き、暖房の火で大爆発。ビルが木っ端微塵なのに店員は軽症という、不動産屋の頑丈さを見せつけた一件。「2万円って高くないか?」問題にも火がつきました。
ソフトバンクが巨額を投じたコワーキングの黒船。上場直前に「これ、テック企業じゃなくてただの不動産業では…?」と世界が気付いた瞬間、評価額が暴落。「孫さんのオブザイヤー」とも。
前者は向日市vs京都市がゴミ処理施設を押し付け合うNIMBY対決、京都のいけずがじわじわ効く名作。後者は台風直撃でタワマン内停電・排水不能になった武蔵小杉で、住人同士が掲示板で喧嘩しまくった惨状。民度もクソ物件。
コロナ1年目。世の中の常識も不動産の常識も溶けた年。諸星あたる氏がワンツーフィニッシュという異例の結果に。
どこかの誰かが最初に貼った「コロナなので家賃払いません、契約は消滅します」の張り紙。あまりに便利すぎて全国でテンプレがコピーされ、不動産屋はみんな腰を抜かしました。借地借家法はどこ行った。
「川口駅直結!」と高らかに謳った広告、よく読むと駅直結のバス停から電車で12分。本賞で話題となったことが逆風となり、販売元はKBOY開催中に広告表記を「川口駅まで約12分」に修正。KBOYが広告表現を是正した歴史的事件。
フライデー砲も撃たれた、独裁理事長による"王様ルール"乱発のヴィンテージマンション。理事会議事録に「共用部を歩くときの作法」が書いてあるレベル。翌年に続く長編シリーズの序章。
姫路のトランプと呼ばれた地元の大物。従業員の横領、二重売買、税金滞納、差押、銀行取引停止処分と次々と困難が襲うも「500億円借りた思い出だけは債権者にも奪えない」。
元参院議員で飲食店社長の松田公太氏が「家賃モラトリアム法」を本気で提案。大家から見れば、パンケーキで家賃払ってやる宣言に等しい。小麦粉じゃローンは返せないんだよ…!
8年目。前年3位の秀和幡ヶ谷がついに頂点に。決勝でタマホーム「大丈夫、大丈夫」を倍以上の大差で突き放す圧勝でした。
独裁理事長を引きずり下ろすべく立ち上がった住民たちの"政変"が成功。ただし混乱はここで終わらず、旧理事長派の巻き返しもあり、今なおドラマは続いています。マンション管理というジャンルの面白さを全国民に教えた名作。
文春砲で「創業家コロナ陰謀論」が次々と暴露されても、同族企業だから大丈夫、大丈夫。外野からは「大丈夫じゃないだろ」と総ツッコミが入った、令和のワンフレーズ企業ミーム。
タワマン文学の巨匠・窓際三等兵が2本同時ランクイン!全国で量産される隈研吾の板張り(やがて剥がれる)、コロナ禍でパパの居場所がない問題、湾岸と禅、2021年の空気をまるごと切り取った三題噺。
9年目。予選にだけ強い男・お鯛先生がついにツームストーンを掴んだ年。刻まれた言葉は「地獄への道は最高益で舗装されている」。
表参道の超一等地にシャネルが建てた新店舗。隣地の高さ制限を回避するため、道路に面した側だけわざと階段状に建物を切り欠く"階段カー"。世界のシャネルが地上げの達人みたいな技を繰り出す破壊力。1万リツイート、4.8万いいねの大バズり。
白金台で地上げを喰らった借主・こいずみ氏の渾身エントリー。地上げされた側からの一人称視点という前代未聞の切り口で準優勝。ぶら下げた干物がそのまま移転後の新居に。
使い道のない山林に、ブルーシートと車一台分のスペースだけで成立する新アセットクラス"ラブパーキング"。誰のための誰の投資か、大家クラスタの度肝を抜きました。
積水ハウスリートの保有物件で発生した"事後"ならぬトラブル。本人が自ら拡散しまくった結果、当のリートはとばっちりで株価急落。SNS拡散時代の恐ろしさよ。
存在しない物件が、会長のひとことで入賞。……何を言っているかわからないと思うが、私もよくわからない。それがクソ物件オブザイヤー。
10周年記念開催。この年の話題はほぼ中古車買取のBMに独占されたが、そのほとんどが実は「不動産」問題だったという深さを本賞が改めて可視化しました。
「店前の街路樹が邪魔」という理由で除草剤を撒いて枯らしていた疑惑、さらに高さ15mを超える看板の設置が条例で禁止されているのに全国で違法設置。車の話題のようで、実は国道沿いの不動産ガバナンスの失敗そのもの。
「環境整備」という名の社内用語で、毎朝全社員に店舗周辺の除草を強制。除草剤散布はその延長線上にあった組織的行為。狼旅団の組織票も感じさせる大接戦でした。
東急歌舞伎町タワー1階の、意識の高さと立地の民度の高低差がハーフパイプみたいなジェンダーレストイレ。設計者の理想と現実がここまで乖離するものかと日本中が学びました。
札幌駅前の再開発ビルを途中まで建てたところで、大成建設が施工ミスにより「解体してやり直します」と発表。そりゃ同窓会行ってる場合じゃないですね…。
無断でペットを飼っていた30代元グラビアの元に集結する、マンション住民の"お散歩(?)騎士団"。管理会社と巻き込まれた誠さんがただただ可哀想な、賃貸マンション管理の闇。
Netflix「地面師たち」が世界的大ヒットし、決済のたび免許証をライトで照らす司法書士が急増。だが本年の主役はそれを遥かに超える壮大な"土"案件でした。
麻布台ヒルズや築地再開発と並ぶ超巨大再開発!……という触れ込みで、みんなで大家さんが一般投資家から1,400億円超を集めた成田市小菅の土地。2027年開業予定なのに進捗2%、収入ないのに配当7%、土地評価は相場の100倍の坪150万円。全てを押し切る気概。
埼玉のアパートの入居者が「大家さんが警察から連絡来たって教えてくれたから逃げた」と供述。大家は犯人隠避で逮捕。大家と入居者の人情物語は、令和ではもう犯罪です。
晴海フラッグの街路にランダムに現れる鍵ボックス群。「闇民泊の仕業!」と囁かれたが、蓋を開けたら不動産屋による内見省力化スキームだったことが全国にバレて炎上。令和の不動産DXの闇。
「新しい社員寮できます!」と内定者をワクワクさせ、蓋を開けたらボロ戸建ての共同生活。結果、19人中17人の内定者が辞退。残った2人が強すぎる。ちゃおの大先生もこれには苦笑い。
北九州のホテル最上階で大麻を栽培していた経営者が逮捕。確かに大麻部屋は長期間稼働率100%だし、緑化面積もCO2排出量もクリアできる先進的エコホテル…なわけあるか。
11年目の2025年。みんなで大家さんの「神バナナ」が実はビニールハウスで小松菜だった事件、1兆円到達したオープンハウス、擁壁爆発、イマジナリーラーメン屋さんと、どこから斬っても血が噴き出す豊作の一年でした。
オール沖縄と伝説のマーケターで挑んだ巨大テーマパーク。開業後はパース画像との現実ギャップ、休憩場所無し、プレミアムパスがないと何も乗れない、などの悪評レビューが殺到。運営はGoogleレビューの一括消し去る敏腕ぶりを見せつけました。授賞式の本文も「早々に消える可能性があります」との注釈つき。
40年間行政指導を無視し続けて膨らんでいた擁壁が、ついに崩壊して爆発。上に載っていたお家は、完成したての「プラウドシティ方南町」にころりんちょと直撃。住民激おこだが、隣のマンション工事の振動が最後の一撃だった可能性もあり、因果関係は永遠の謎。
荒井将軍率いるオープンハウスが、創業28年で時価総額1兆円目前に。武器は「コッカラッス」のひとつだけ。小説「狭小邸宅」を読んで笑っていた頃に株を買っていれば20倍…人生考えてる暇あったら客見つけてこいよ!
長野県辰野町の空き家バンク担当職員が、自治体の制度を悪用して「売れない物件ですよ」と所有者に嘘をつき、価格を下げさせて自分で購入、高値で転売。懲戒免職。空き家バンクとアルバリンクで踏めている点も評価。
大手買取再販のインテリックスで、従業員が自分で宅建士証をパウチ機で自作し、3年間78件の契約を締結。会社が専任登録しようと国交省に届け出たところ、登録の事実がなく発覚。重説と契約書は全て再交付。不動産屋さんに作れないものはない。